日本の伝統!日本酒の魅力に迫る〜味わいと効果編〜
まいどおおきに。みそまろです。ぺこり。
前々回より「日本酒の魅力〜歴史編〜」「日本酒の魅力〜種類編〜」と題しまして、日本酒がいつ頃からあって、誰が作っていたのか?どんな種類があるのか?ということをシリーズでご紹介させていただきました。
今回は最終章としまして、日本酒の「味わいと効果」について、ご紹介させていただこうと思いますよ。
■日本酒の味の基準
日本酒、と一口で申しましても、作られている都道府県・米の種類・精米具合・仕込み水・醸造方法などによって、味わいも香りも違う酒になります。
この違いが少しでもわかるようにと数値化、つまり目に見えるようにしてくれているのが、【日本酒度】【酸度】【アミノ酸度】の3つで、日本酒の味わいを知るための重要な指標です。
簡単に申し上げますと、
【日本酒度】 甘辛度を表す指標で、水の比重を基準にして数値化されています。
【酸度】 日本酒に含まれる酸の量を示し、味わいや香りに影響します。
【アミノ酸度】 旨味成分であるアミノ酸の量を示し、酒のコクや深みを表します。
これらを見ることで、自分好みの日本酒選びに役立てることができるんです。
この3つの数値は、商品ラベルや裏ラベルに記載されていることもありますし、店舗で詳細を尋ねれば教えてもらえたり、公式サイトで公表されていることもありますよ。
この3つの中でも、最もポピュラーなのが【日本酒度】 でしょう。
テレビの旅番組などで、日本酒をいただいた方が、
「これはキリッと辛口ですね」
「米の甘味を感じます」
といった感想を述べているシーンをご覧になったことはありませんか?甘いか、辛いか、これが【日本酒度】なのですが、下記のようにプラスとマイナスがあります。
甘口 | ー3.5 〜 ー5.9 |
やや甘口 | ー1.5 〜 ー3.4 |
やや辛口 | +1.5 〜 +3.4 |
辛口 | +3.5 〜 +5.9 |
超辛口 | +10 |
この数値はどのように導き出しているのかと言いますと、水と糖分の比重を計測しているのです。糖分などを多く含んだ日本酒は水よりも重いため、マイナス(甘口)になり、逆に糖分が少ない日本酒は水より軽いため、プラス(辛口)になります。
■温度による味わいと香りの違い
甘口と辛口があるとお分かりいただけたところで、もう1歩先に進んでみましょう。次は味や香りについてです。
実は日本酒は、「温度」によって味わいが驚くほど変わります!
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冷たい状態(冷酒)
爽やかでフルーティな香りが引き立ち、シャープでキリっとした味わいが楽しめます。特に吟醸酒や大吟醸酒は冷やすとその香りと軽やかな後味が際立ちます。
温めた状態(燗酒)
旨味が引き出され、まろやかで深い味わいが楽しめます。温かさによって香りが開き、リッチな風味を感じられるのが特徴です。純米酒や本醸造酒は温めることで特にその良さが際立ちます。
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冷たいとすっきりした印象、温めるとまろやかな印象になるので、季節や気分に合わせて楽しむのが日本酒の醍醐味と言えるでしょう。
しかも温度によって呼び名があるんですよ。それぞれの温度と、味わいも一緒にご覧ください。
呼び名 | 温度 | 味わい |
雪冷え | 5度 | 冷蔵庫から出した直後。シャープな味わいで清涼感がある |
花冷え | 10度 | 徐々に香りが広がり、スッキリとした味わいに |
涼冷え | 15度 | 冷蔵庫から出してしばらくたった温度。華やかな香り |
常温 | 20度 | ほんのりした冷たさ。やわらかい香りと味わい |
日向燗 | 30度 | 香りが引き立ち始め、滑らかな味わい |
人肌燗 | 35度 | ぬるいと感じる温度。香りが引き立ち、さらとした味わい |
ぬる燗 | 40度 | 酒の香りが最も豊かになり、ふくらみを感じる味わい |
上燗 | 45度 | 酒の香りが引き締まり、柔らかさと引き締まりを感じる味わい |
熱燗 | 50度 | 酒の香りがシャープになり、切れ味のよい辛口に |
飛び切り燗 | 55度 | 酒の香りが強く、辛口に |
温度によってこんなにも味わいが変わるということに驚きです。
またこの名前が素敵!
「涼冷え(すずひえ)」や「日向燗(ひなたかん)」などは、江戸時代からの日本酒文化の中で自然に生まれたと考えられています。日本酒を楽しむ上での粋な言い回しとして、世代を超えて受け継がれてきたものなのでしょうね。こんな情緒豊かな表現があるのも、日本酒文化の魅力ですなあ。
■日本酒がもたらすカラダへの恩恵
では最後に、日本酒が私たちにもたらしてくれる恩恵について、ご紹介しましょう。
日本酒には、旨味成分であるアミノ酸がなんと20種類も含まれています。
そして、栄養成分においては数百を超えるとも言われています。この栄養成分は、厳密に数えると、発酵や製造過程で生まれる細かい成分も加わるため、全体的な数は正確には確定されていませんが、約700種類、と記している書籍もあることから、非常に豊かで複雑な構成であることがわかります。
中でも多い栄養成分の1つが「アデノシン」。
これはストレスで収縮した血管を広げて血流をよくしたり、血圧上昇を抑えたり、善玉コレステロールを増やしたりする働きがあるのだとか。また睡眠促進作用や育毛のサポート効果も期待されており、医療や美容分野でも注目されています。
また、日本酒にたっぷり含まれている「アミノ酸」は、肌の保湿効果を高めますし、米由来の「フェルラ酸」は、シミやそばかすの原因であるメラニンの生成を抑える効果もあるんです。つまりは美肌効果が期待できるということですね。
こんなに素敵な恩恵があるのなら、と、日本酒に手が伸びてくれると、まろはとても嬉しいです。
3回シリーズに渡って日本酒の魅力をお伝えしてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。日本酒の奥深さを少しでもお分かりいただければ幸いです。
日本酒は、日本の宝物であり、伝統文化でもあります。きっとこの先も変わらずそうあり続けてくれるでしょう。
この宝物を守っていくためにも、「お酒は二十歳になってから」というルールを守り、「お酒は適量を楽しむもの」ということを心にとどめ、美味しく愉しく味わってくださいね。
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